【80周年を迎えた老舗シャツメーカーの新たな取り組み】エシカルでファッショナブルな半纏を、長野県から発信したい!

エシカルでファッショナブルな半纏を、長野県から発信したい!
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【co:do】尾州ウール"毛七"について

2020年12月22日 12:00

こんにちは、ニシザワです。


半纏(Japanese Short Coat)に使用している生地は羊毛ですが、それは"再生"されている羊毛です。

捨てられてしまう古着や、工場で出た生地のハギレ等をもう一度生地として"再生"するということです。
 

私達は再生羊毛を生産されている"毛七"の織元さんに直接伺い、どのように生地が再生されていくのか見学させていただきました。

目指すは愛知県一宮市!羊毛といえば尾州
(世界三大毛織物産地の一つ、イギリスのハダースフィールド、イタリアのビエラと並び世界中のメーカーやブランドから注目される産地です)

いざ産地に出発です!

(メンバーはサクライさん、サトウさん、ニシザワで行ってきました。)
 

当日は台風が本州へ近づいている日で出発時はどんより、どーんと曇り空でした。

1日に3件の工場を巡るスケジュールなので移動時の雨が心配。


わたしたちの本社がある長野県千曲市を出発した頃はよかったのですが、
だんだん南下していくとどんよりどころではなく、ぽつぽつと雨がフロントガラスに当たってきました、、、

岐阜県の恵那に入ったころにはちゃんとした雨に切り替わり、、、
愛知県に入るとばらばら雨。

長野県の大きな山を抜けると、そこはちゃんと雨でした。


まずは一社目の"サンリード"さんへ。


 

1.仕分ける (サンリード)



わたしたちが使用させていただく生地は、"再生羊毛"を使用した生地です。
不用品となってしまった羊毛生地の衣服や、工場から出た裁断くずなどをもう一度羊毛生地として生まれてくるのです。

"サンリード"さんでは、日本で集められた古着を再生羊毛用に仕分けされています。



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様々な色、デザインの古着が入ってくるのでまず色分け

同系色ごとに衣類をまとめた後、
縫い付けられているファスナーやタグ、釦を取り外していきます。



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ここで"再生ウール"の利点とは!

① 染色の必要がない
古着が原料なのでその古着自体の色合いを生かしています。アイボリーのニット、グリーンのカーディガンなど様々な古着が集まっていました。

その、それぞれの古着の色を調合次第で色味が変わっていきます。
なのでこの色を作ろう、ということは難しい反面、ヴァージンウールには出せない色合いが再生ウールには出ます。

また染色時に出る廃棄水廃棄物も出ないため環境に優しいです。



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染色って?どのようにやっているのか?
染色をするとなると、まず羊毛に染料が浸透させます(洗剤を使用したり、お湯に浸けたりと様々)。

その後染料に浸し、液体の温度を上昇させる。煮沸や蒸しのような工程です。

その後取り出した羊毛を脱水し、乾燥させ、できあがり。

とってもざっくりとした説明ですが"再生ウール"ではこの過程を省くことができるのです。


② 収縮の度合いが少ない
(収縮はするが新品よりも軽度)

"毛七"はウール70%
(半纏の生地では残り30%に、ポリエステル15%、アクリル10%、ナイロン5%を使用しています)の割合であるため、新品のウール100%の商品よりも収縮の度合いが抑えられます。

収縮とは!
羊毛一本一本をこまかーく見てみるとキューティクルが外側にあります。

シャンプーのCMでもよく聞きますよね。人間の髪の毛にもある、あのキューティクルです。

そのキューティクルは方向性があり、摩擦が起こると逆なでされてしまうため収縮や毛羽立ちが起きてしまうという仕組みです。

でも、再生ウールってヴァージンウールに比べると見劣りするんじゃ、、、

そんな声が聞こえてきた気がします。

可能ならみなさんに手を取って見比べていただきたいです。

はっきり言ってわかりません!


写真で伝わるでしょうか、こちらが一足先に届いた再生ウールちゃんです。



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あたたかみがあり、厚みもしっかりとしています。

うーん、早く手に取っていただきたい、、、その一言に尽きます。


話が脱線してしまいましたが、年に一度しか刈り取れない羊毛。

しかも牧羊を育てる環境に日本は不向きで、そこまで盛んではありません。
(昔は信州で牧羊を行い、刈り取った毛を尾州で生地として織っていたそうです!)


でも日本で着られなくなってしまった羊毛衣服、生地は何度でも蘇り、ふわっと仕上げることができます。

日本で再生され、生み出されるこの生地をわたしたちの手であたたかな半纏に作り上げますので、もうしばしお待ちくださいませ。
 

 

2.反毛する (玉腰整毛)

さあ、次にお邪魔したのは玉腰整毛さんです。

こちらでは仕分けされた衣服が、さらに細かく反毛されていきます。

反毛とは、糸、生地をワタ状にすることです。

反毛されたワタたちは紡がれ、そして織られ、生地になるということです。


玉腰整毛さんでは反毛機がぐるぐると回っており、ちょびっとドキドキしながら見学させていただきました。



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こちらが反毛機です。

大きいものから小さいものまでたくさんのローラーがついており、
稼働し始めると正針、逆針(正針に対し反対回り)がワタを運んでいきます。


工場での流れはまず生地を細かく裁断したものをブレンドされた油に浸します。
どんどん細かくなっていく羊毛たちが舞いにくく、伸ばしやすくするようにです。

そして細かくなっている生地をさらに引きそろえていきます。



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そのあとも反毛機のローラーでさらにさらに細かくしていきます。

工程の順を追うごとにふわふわ度合いが全く違います!



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気温の変化や、羊毛、アンゴラ、カシミヤなど毛の種類によって油の量や、反毛機の回転速度を変えているそうです。


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こちらが最終的なふわふわワタです。かわいいですね。


そしてこの後は紡ぎ織りパートです!


 

3.紡ぐ、織る (令和毛織)

三社目は令和毛織さん。

ちなみにまだ雨は降っています。傘がなかなか手放せません、、、


ふわふわのワタになった羊毛を紡いでいきます。紡ぐとになりますね。

糸になったらお次は織ってになる。

詳しく見てみましょう。



画像1


まずこちらから。

先ほどのワタとは異なるワタを使用しているので質感、色味別物ですが
このように紡がれ巻き取られます。


奥にもたくさんの糸が筒に巻き取られスタンバイしています。

そして、作りたい模様や柄が出来上がるようそれぞれの糸を組み合わせていきます。

例えば左から赤 赤 赤 白 白 赤、、、というように配列していくのです。


配列した糸をさらに大きく巻き取ると



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大きさはこれくらい。

あ、サトウさんとニシザワがいます。

説明してくださっている右側の男性は、大鹿株式会社彦坂さんです。



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この配列された糸たちを織機にセットしていきます。


実はこの写真からco:doが半纏のために依頼している生地の生産風景です。
自分たちが使用する生地の生産過程を見ることができてにやにやしちゃいました。



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この写真を見ると糸が張られているのがわかります。

写真奥の方には大きな針穴のようになっておりそこに一本一本糸を通しています。


私達が依頼した生地の配列は黒8本白1本黒8本白1本を繰り返しています。

白糸があるのは、この生地がダブルフェイスのため2枚の生地を繋ぎあわせる糸を見分けやすくするためだそうです。

全部で3996本、すべてを手作業で通していただいております、、、

ありがとうございます!!



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あ、またサトウさんとニシザワがいますね。

わたしが立っている側に向かって糸が進み、織られ生地になっています。



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ででん。ニシザワが立っていた側です。

ズームしてみましょう



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こちらがからに変わる境界ですね。


思い出してください。

この生地の表面はさらさらしており、先程のふわふわした生地感とは異なります。

実は表面を焼いているそうです。



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手前が織り上がった生地、奥が表面を焼いた生地。

こんなにもふわふわ具合が変わるとは、、、


一通り見ていただきました。
おなかいっぱいですか?


 

さてさて、ここからは番外編


生地が作られていく工程についての説明をさせていただきましたが、作り手側の想いも知っていただきたく、こちらを設けさせていただきました。

 

番外編:紡いでいく

改めてご紹介させていただきます。

愛知県一宮市にて毛七生地を作られている彦坂さんです。



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木玉毛織さんの一角にある素敵なショールームにてお話しを伺いました。

ショールームは現在予約制となっていますので、お買い物の際はお早めの予約を!

いろんなブランドの商品も並び、中央にはシャトル織機が置かれている素敵な場所でした。


愛知県一宮市について
私ニシザワ、お恥ずかしながら一宮市がどこにあって、どんな場所なのか知らなかったのですが、まず驚いたのは名古屋市ととても近い!

電車で15分ほどの距離間でした。そして尾張一宮駅がおっきい、、、しかもかっこいい、、、

建築物好きとしてはたまりません!



画像2
 

もともと愛知におでかけしたことがそんなになかったので位置関係がわからなかったのですが
お店がにぎわっていて、名古屋も近くて、交通の区画もしっかりされていて発展した街だと感じました。


そして一宮の西エリアは繊維のメッカであり、機屋さんが多い街だったということ。

昔は約4000軒あったそうですが今は約600軒に減ってしまったそうです。

人件費が安かった中国にも機織りをする工場が多く、バブル崩壊後、海外生産の流れになり多くの機屋さんが廃業されてしまいました。

ただ近年中国での生産も人件費が高くなってきているため、国内生産を希望されるお客様も少なくはないそうです。

もともと愛知はモノづくりの街なので発展したのだと納得。




じゃあ毛七って?

"毛七"とは尾州に伝わる業界用語です。

毛(ウール)が70%の混率であることを意味します。


彦坂さんも大鹿株式会社さんに入社当時"毛七"というワードが飛び交うが意味が分からず、

「毛七ってなんですか?」と尋ねて帰ってきた返事は、、、、

「毛七は毛七や!!!!」と笑


こちらでは生地のブランドとして"毛七"と呼ばせていただいていますが、もともとは業界用語。

40年程前から行われていたリサイクルウールに名はなく、生産されていたのです。

リサイクルウール=毛七というわけではなかったんです。


彦坂さんは思います、リサイクルウール面白いなぁ。

こんなに面白いことやっているなら消費者の人にも知ってほしい、
販売員もこの仕組みを知っていればさらに接客もしやすいはず、、、、

そこで、もともと写真も撮られる彦坂さんは"毛七"の生地が生産される現場に出向き素敵なカタログを製作、生地のブランドとして立ち上げました。


わたしたちco:doの掲げるコンセプトである、

「故きを温ねて、新しきを纏う(ふるきをたずねて、あたらしきをまとう)」
先人たちの知恵から、わたしたちが学ぶとき
そこにはいつも、新たな発見があります。


このコンセプトと、伺った"毛七"のブランドの成り立ち。

どちらも先人たちの知恵が重なるな、と勝手ながら感じ、改めて"毛七"の生地を使用させてもらうことをありがたく思いました。

https://www.keshichi-138.jp/
 


毛七の面白い仕組み

今回の出張では三社にお邪魔させていただきました。

仕分ける反毛する紡ぐ、織る

その工程を一工場で全てできるわけではありません。また織られた後の加工も別の工場で工程がなされます。

と、なると?

それぞれの工場がその工程に関してプロであり、様々に対応できるということです。ひとつの工程に特化していると設備も整った状態にあります。

毛七ではスーツ地の企画も行っていますが、自社工場で一括していないからこそ様々な生地を生産できると伺いました。

おもしろいですよね。

これも一宮だからこそできる仕組みだなと。

近隣に関係工場が集まっているため、"毛七"に関与している工場も、見学させていただいた工場以外もあります。

そうやってつながってひとつの生地を作り上げているそうです。



夏のウール

ここはみなさんへの問いかけコーナーです。

ウールっていつ着てますか。

え、冬でしょ?

わたしもその回答しかできなかったです。


サマーウール、聞いたことありますか。

今の若年層は着ない方が多いですが、あなたの学生時代の制服思い出してみてください。

涼しくなかったですか。


わたしは中学、高校時代ともに指定制服があり着用していましたが全てウールが混率に含まれていました。

さらにいうと、夏用の制服を購入している友達は少なく、みな一年を通して同じ制服を着ていました。

夏に着ていた制服にもウールが入っています。


実はウールはインナーとしても作られていて、最近アウトドアブランドのインナーコーナーや古着屋さんのカットソーコーナーでも見かけました。

シャリっとした感触です。


ウール=冬というイメージは私の脳内でも強く、あったか、もこもこがウールと思っていましたが私はウールについてなにも知らなかったんです、、、勉強不足でした。

と同時に湧いた感情は冬だけのウールなんてもったいなさすぎる、、、

みなさん、近年の暑い夏を綿でループしていませんか。

来年の夏はウールも取り入れて素材感を楽しんでみませんか。

わたしの来年の夏は決まりました。


ざざざっと書いてしまいましたが、彦坂さんより伺ったお話を元にまとめさせていただきました。

やっぱり現場に行って見る聞く尋ねることをするのはかけがえのないことでした。


今後もこちらで生産背景をお伝えしてまいりますので、私が感じた感動をみなさまにもおすそ分けしたいと強く思っております。

 

ニシザワ

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