こんにちは、ニシザワです。
今回は素敵な和紙についての記事です。
私達からみなさまへリターンとして発送する品物は、素敵な包装用紙に包んでお届け致します。
信州の伝統的工芸品の内山紙です。
伝統的工芸品とは?
そもそもどんなものを指すのか、簡単ではありますがこちらで説明いたします。
① 主に日常で使用するもの
② 製造過程の主要な部分が手作りであること
③ 伝統的な技術や技法によって製造されていること
④ 伝統的に使用されてきた材料であること
⑤ 一定の地域で産地を形成されていること
以上5つのポイントが法律上で定められております。
ここで注意なのが"伝統工芸"と"伝統的工芸品"は別物であるということです。
伝統的工芸品は国から定められますが、比べて伝統工芸品は地方自治体で定められていたり、自由に名乗ることができたりします。
詳しい説明は伝統的工芸品産業協会様のページにて掲載されております。
令和2年3月時点でも全国には235品目登録されています。みなさんの地元の工芸品も登録されているかもしれません。
https://kyokai.kougeihin.jp/traditional-crafts/
私達co:doは内山紙を作成する阿部製紙さんへ伺い、見学させていただきました。
和紙のことを知っているようで、ニシザワは全く知らなかったのでみなさまにも共有したい!と思い、今回は説明が長く続くような内容になりそうです。お付き合いください。
内山紙の原料には楮(こうぞ)を100%使用しております。
まずここで、楮とはなんぞ、、、?
クワ科の植物で高さは2~5mの落葉低木です。丈夫な性質で、手間をかけなくともしっかり成長するようです。
伺った時期には既に楮は刈り取られたあとだったため茂っている様子は見れず、、、断面図はこのように真ん中に穴が開いていました。
この木の皮を使用し、和紙を作成していきます。
ただ楮の皮は黒く、和紙の真っ白なイメージとは真反対。
白くするため楮の皮を漂白していく工程があるのですが、ここに内山紙の大きな特徴があります。
内山紙は長野県飯山市を中心として生産されており、飯山市は県の北部に位置します。
新潟県ととても近い地域で冬になると積雪量はとんでもないです。(先週の寒波による降雪も飯山地域はとても積もったそう、、、)
その雪深い地域的特性を生かし、雪さらしが行われています。
雪さらしとは楮皮を編縄に編みつけ、雪上に広げてまばらに雪をかけます。この状態で一週間ほどの天日干しにさらします。
雪にさらすことで雪が溶ける際に発生するオゾンが持つ漂白効果によって楮の皮が白く漂白されます。
このように自然の力を生かし、薬品の使用量が少ない製造方法ですと和紙の白さは丈夫で日焼けしにくく長持ちします。
だからこそ内山紙は障子紙として発展したのですね。
阿部製紙さんからいただいた資料を拝見すると、工程の多さに驚きました。
楮の原木の採取にはじまり
蒸し煮:採取した楮の原木を80cm~1mほどの長さに切って結束し大釜で蒸します
皮はぎ黒皮乾燥:黒皮を吊るし、天日で乾燥
凍皮:楮皮を水漬け後、夜の間雪上に放置し凍らせます。これを3日間繰り返し皮を剥ぎやすくします。
皮かき:凍結した黒皮の表皮をおかきと呼ばれる道具で削り取る
雪さらし:雪上に楮を広げ、上からも雪をかぶせ天日にさらす。工房の近隣で行っているそうです。
白皮乾燥:さらし終わった状態を白皮と呼び、これを天日によって乾燥
(10kgの楮から取れる皮は800~900gだそうです)
水漬煮熟(しゃじゅく):繊維を柔らかくするため灰のあく汁または炭酸ソーダ、苛性ソーダ水溶液で煮る
あくぬき:水漬けする
水洗い漂白:さらしこ又は亜塩素酸ソーダで漂白。昔はなかった工程ですが、和紙のより一層の白さが求められ追加されたそうです。
ふしろい:枯れ皮、ふし、ごみ等を取り除く
打解(だかい):打解機で1時間ほど叩き、楮の繊維を解きほぐす
玉造り:打解した楮皮を手で約1kgの玉状に固める
小振り:漉き舟と呼ばれる水槽に水600lと玉を4つ入れ、黄蜀葵(おうしょっき)粘液15lをいれて八人小振りで撹拌
漉き:紙の原液を簀桁(すげた)ですくい上げ、縦横に振り、水を振り払う作業を繰り返して漉く
厚搾:漉き上げた紙を圧搾機で脱水
乾燥:熱した鉄板に1枚ずつ敷いて乾燥させる
選別:不良品を除き、1帖(48枚)ずつに仕立てる
裁断:用途によって和紙を裁断、包装していきます
これが和紙を製造する一連の工程です。工程の数がとても多く未だにびっくりしております!
この中でも「漉き」の工程はとても大変なものだと伺いました。
和紙を1枚ずつ漉いていくわけですが、その1枚の厚さを均等にすることはもちろん、その厚さを保ち何枚も何枚も同じように漉いていくのです。
これには微妙な感覚と経験が必要とされ、「紙は気を漉く」とまでいわれるほど繊細な作業です。
またこの紙の原液はとても冷たく、手の感覚を奪います。その冷たさに耐えながら作業せねばなりません。
またお邪魔した際には、飯山市の小学校の卒業証書を製作中とのことで見学させていただきました。
私たちの会社にも飯山市近隣出身の社員さんがいらっしゃるので帰社後に伺うと、やはり内山紙の証書だったそうです!しかも自分自身で手漉きを行ったとのこと!
なんてうらやましいのでしょう~和紙を漉く貴重な体験、一生の思い出になりますね。
ご興味のある方!阿部製紙さんでは手漉き体験も行っているので要チェックですよ。
http://www.uchiyama-gami.jp/exprise.html
小学校の生徒さんへの卒業証書になる和紙の製造工程です。こちらは機械を使用しての制作となっております。
どーんと大きく迎えてくれたのはこちらの機械。
漉きから乾燥までこの一台でこなしてしまいます。
写真奥側にある水槽は見えますでしょうか?
あちらに小振りされた紙の原液がはいっており、くるくると水車のような桶に汲まれ、先ほどの製造機へ供給していきます。
これまた違う角度から。
この写真の製造機は1枚目の製造機と同じものです。張られた布の裏側には原液が順次流し込まれ
はい、ズーム。
ここでもう漉きが行われています。原液がゆらゆらしているのがわかるように、紙が均等になるよう揺れております。
さらにさらに
紙漉き用の布に和紙が張り付いていきます。
これがその瞬間!きれいにひたっと張り付き、ゆっくり流れていきます。
張り付いたかと思えばもう乾燥が始まります。
同じ製造機でも反対側には乾燥用の鉄板がぐるぐるとしており、先ほど漉かれた和紙がもう吸い込まれていきます。
乾燥もあっという間に終わってしまい乾いた和紙はくるくると巻き付けられ完成!
下段の和紙は乾燥前、上段の和紙は乾燥され反に巻き付けられています。
1台で全てこなしてしまう優秀な製造機でした。
阿部製紙さんの事務所でとあるものを発見!
わかりづらい画角ですみません、、ニシザワが撮りました、、、
こちらカバーがかけられたクッションです。
もうお気づきの方もいるでしょうか?こちらのクッションカバー、、、
和紙なんですよね!
濡れている状態の和紙を絞り染めすることでこのような模様が出現。
「紙」と聞くと耐久性が弱いイメージがあるかもしれませんが、触り心地はとてもしっかりしており、不安を感じずしっかり座れる感じでした。
事務所内には和紙から作ったポーチや、かばん、置物等さまざまな物が置いてあり、一見和紙とは思えない重厚感でした。
和紙=障子、習字用の紙、はがき、、、という固定概念を覆されました。
伝統的工芸品といえど作り方、工夫の仕方、使い方によってどんな用途にも様変わりするのかもしれません。
だからこそ、生み出される現場に出向き、直接お話しを聞くことで勉強させていただきました。
阿部製紙さんに作っていただく内山紙を半纏(Japanese short coat)とともにお送りします。
ただの包装用紙にとどまらず、こちらも工夫の仕方、使い方であなたの生活に寄り添います。
ニシザワ
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