こんにちは、ニシザワです。
あっという間に2020年の年末となりましたね。いかがお過ごしでしょうか。
私は来年のお正月は寝正月にしてやろう!と今から意気込んでおります。
みなさんはどんなお正月を過ごしますか?
半纏(Japanese short coat)の内ポケットについている"松代焼"の陶器ボタンについて本日はお話しいたします。
陶器ボタンを作ってくださったのは、長野県長野市松代町にある松代陶苑さんです。
私たちが働くフレックスジャパン本社と車で15分ほどの距離でとても近く、生産の各工程を何度も伺って見学させていただきました。
ありがとうございました。
各地方に〇〇焼きという陶器がありますが、松代焼の特徴は青緑の色合いということです。
これは釉薬(ゆうやく)と呼ばれる調合された薬を陶器に塗ってから焼くことで、この色味が出現します。
いったいどんな工程を経て松代焼が出来上がるのか。
教えていただいた製造工程を簡単にまとめますと、
① 土練り、成形
② 乾燥
③ 素焼き
④ 釉掛け
⑤ 本焼き
と進んでいきます。
今回の松代焼の陶器ボタンのお話は、前編、後編と分けさせていただき、各工程をボタンの製作風景を通しながらお話ししたいと思っております。
陶器としての形になる前の土、いわゆる粘土を真空土練機にて練りさらに菊練りをします。
菊練りとは陶芸やそば打ちの際に練る手法で、片手は押しながら、片手は捻じりながら回転するというもの。
このように練ると粘土表面に菊の花の模様が浮かび上がることから「菊練り」とよばれるようになったそうです。
こうして粘土から空気を抜いたあと、適量に分け、平らに伸ばしていきます。
こちらの写真のように、手ぬぐいにはさまれた粘土の両端に二枚の同じ厚さの板を置き、棒によって均等に伸ばしていきます。
ボタンの型を使用し、ここから型抜きしていきます。
一つずつ丸く型抜きをし、ボタンの穴の位置をピンセットで軽く跡をつけ、それから細い筒を使用して穴を貫通させます。
一度型を押せばボタンの形がそのまま出来上がるわけではなく、ボタンの直径サイズに型抜き後、手作業で穴をあけています。
まず理由として1つ目、耐久性の問題。
2つ穴の形のボタンだと1番耐久性が弱いのは穴と穴の間の場所です。
穴どうしの位置が近かったり、穴が大きすぎてしまったりすると、その部分の面積が小さいため耐えられず割れてしまう可能性があります。
そのためボタン付けの作業を縫製工場ができるような穴の大きさ、かつ、割れの心配がない穴の大きさを小澤さんの経験により測っています。
2つ目、松代陶苑さんでは陶器ボタンの作成は今回がはじめてということ。
わたしたちは松代焼独特の青みに惚れ込み、お作りをお願いしましたが陶器ボタンの製作は今まで行われておらず、型も製法も松代陶苑 小澤さんが1から考えていただいております。
(無理を言ってしまってすみません。ですが第一弾のサンプルから完璧なものを作ってくださった小澤さん、、、プロフェッショナルすぎます!)
そのため直径〇〇mmのボタンならこの型、2つ穴のボタンならこの型、と用意がされているわけではなかったのです。
今回よりボタン製作の工程を組み立てていただいたため、ひとつひとつ丁寧にお作りいただいています。
型抜きして、穴あきもして終わりではありません。
このままですとボタンの表面は荒く、凹凸がある状態です。
このまま焼いてしまうと釉薬がきれいに流れなかったり、半纏にボタンを取り付け後生地にひっかかってしまったりするかもしれません。
なので適量の水を指に取り、ボタン表面をなめらかになめらかにしていきます。
写真で比較すると一目瞭然ですね。
そして最後にボタンを軽く湾曲させます。
これはかけられた釉薬が本焼きされる際、きれいに流れるようにするためです。
ひとつひとつの工程にちゃんと理由があるのですね。
成形後、ここで一旦乾燥を。
小さいサイズのものなら約1週間、大きい壺のようなものなら約1カ月しっかりと乾燥させます。
ここで十分な乾燥をしておかないと素焼き中の割れやヒビに影響が出てしまいます。
日本は多湿な国で四季もあります。
季節によって乾燥の見極めも必要なためプロの目が光ります。
せっかく綺麗に成形したのに割れてしまったら悲しいですよね。
素焼きは釉薬をかけず、本焼きに比べれば低温で陶器を焼く工程です。
低温と言えど800℃ですが、、、
こちらの素焼き窯は体験教室が行われる広い部屋の一角にあります。
冬は暖房がいらないくらい部屋が温まるそうですが、夏を想像すると、、、ゾッとしますね。
ゾッとというよりじとーっと、、、というか、、、
(夏季の体験教室のときは、日にちが被らないようスケジュールされていらっしゃるのでご安心ください!)
この素焼きの特徴は窯内に陶器を重ねて入れること。
釉薬がついていないので陶器たちがくっつくことはありません。
むしろ重ねて焼くことで陶器同士の熱が伝わりさらに良く焼けるんだとか。
なのでこのようにぎゅうぎゅうと陶器たちが入っています。
まるでおしくらまんじゅうをしているように。
この状態にし、800℃以下で10時間ほど焼きます。とっても熱くなっているので約1日窯の中で自然冷却します。
焼いている時間と冷ます時間がほぼ同じくらいなんですね。
本日は一旦ここまでです!
釉薬の工程からは来年にお話致します。
つまりこちらの投稿で2020年は最後となります。
お読みいただき、ありがとうございました。
また来年もco:doの活動情報や、お知らせ等々更新していきますのでよろしくお願い致します。
みなさま、良いお年をお迎えくださいませ。
ニシザワ
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