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【co:do】(後編)"松代焼"の陶器ボタンについて

2021年01月04日 17:00

あけましておめでとうございます、ニシザワです。

今年もよろしくお願い致します。

年末年始はお休みをいただき、のんびり過ごしておりました。

 

 

釉掛け

まず釉掛けの前に撥水材を塗っておきましょう。

これから釉薬もかかりますのでどこかにくっついてしまってはせっかくの作品が大変ですから。

 

撥水材を塗り終わったら釉掛けです。
 

釉薬(ゆうやく)は聞き慣れない言葉ではないでしょうか。

わたしは偶然NHKの朝ドラ「スカーレット」を見ていたもので「ああ!これが釉薬!」と本物の釉薬に感動。

スカーレットは信楽焼の女性陶芸家を戸田恵梨香さんが演じていましたね。

ドラマでも釉薬の調合が難しく出したい色が出せないというお話もありました。

(その調合を記したノートを弟子が盗む下りもありましたが、結局盗まれたのは喜美子と八郎が新婚当時に夢や目標を書いていたノートだったというオチ笑)

 

実際松代陶苑さんでも同様に伺いました。

あ、ノートが盗まれたところじゃないですよ、調合がとっても難しいところです。

 

だからぶっちゃけて言えてしまうのが調合に使用する材料です。

小澤さんは私達にも、同じ陶芸をやられている方にも、どなたにも調合材料は快くお伝えしています。

なぜなら材料がわかっても調合ができないからです。

だからわたしもここに書いちゃいます。

 

松代陶苑さんで使用されている釉薬の材料は

・天然素材の灰類(木灰、わら灰、もみがら灰)
・長石(小市の白土等)
・松代に湧き出る温泉水


が入っているそうです。
 

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どれも天然素材を使用しているのです!
 

個人的に驚いたのは温泉水を使っていること。

陶芸作品に色を付けるものとして全くの予想外でした。

なぜ温泉水を使用しているかというと、松代の温泉水は鉄分が多く、原料をつなげてくれる役目をもっているからだそうです。

 

温泉水を使用しない他の窯の方は水を使用し、凝固剤を加えているそうです。温泉水ならその凝固剤は不要ということ。
 

松代焼には余計なものは入っていないこと、天然の材料を使用していること、地域性を十分に生かした陶器であることにとても感動しました。


釉掛けの方法はというと。
 

松代焼には二種類の釉薬が存在します。
 

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写真に写っている器をご覧ください。

右から二番目の淡い水色になる釉薬が一つ
(灰釉)
この釉薬の上に、さらにもう一種類の釉薬
(銅釉)をかける二重掛けをすると反応し右端の青緑色が出現します。

 

本焼き後にはこのようにはっきりと色が出ますが、釉薬をつけた直後はこのような姿です。
 

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樽に入っていた釉薬は液状ですが、陶器に付着してからの浸透が早く、すぐに乾燥し固化します。
 

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こちらが灰釉の釉掛け直後。

それがみるみるうちに、、、、、

 

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このように固化が早いため「灰釉掛け」「銅釉掛け」「釉薬によって塞がってしまったボタン穴を貫通させる」という三つの工程を連続して行わなければなりません。
 

効率重視にし、ボタン全てをまとめて灰釉にしていると最初に掛けたものは既に固化してしまい、穴を貫通させようとすると釉薬の一部がとれてしまったり、きれいに整えられなかったり、、、ということが起こります。
 

そのためボタンをひとつひとつ作業していただいております。繊細で細かな作業です。
 

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こちらは銅釉をつけている写真です。

本焼きされているとき、きれいに釉薬が流れるよう適量を掛けていきます。


 

本焼き

さあ、最終工程の本焼きです。


素焼き時の窯の温度は800℃でしたが本焼きの窯は1200℃以上の高温で3日焼き続けます。

 

今は専用のガス窯があるため、様子を見つつも適正な温度で焼くことはできます。

昔はこのような窯がなかったため、薪を燃やして調整していたそうですが到底1200℃には達しません。

温度が足りていないと陶器が欠けてしまったり、釉薬も反応をせず透明色になったり、松代焼の青みとは異なる色になってしまうことは少なくなかったそうです。

1200℃の高温を3日間なんて、昔の方もおったまげーですね。


陶器ボタンの本焼きが始まる当日にco:doスタッフがお邪魔させていただいたのですが、松代陶苑さんのご厚意で陳列のお手伝いをさせていただきました。
 

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すでに積み上げられている陶器たちは台上にあり、台の高さ+120cmの高さになっています。(合わせて180cm前後といったところでしょうか)

身長158cmのニシザワは踏み台を使用して並べております。

 

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踏み台に上っていること、たくさんの陶器があることが重なりドキドキしました。

作品にぶつからなくてよかった、、、

 

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そして並べ終わるとついに窯の中へ陶器たちが入っていきます。
 

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松代陶苑 斎藤さんがゆっくりと台を押して、レールの上を移動していきます。

カタカタと揺れる陶器たち、ですがひとつも落ちることなくすっぽりと収まっていきました。

 

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窯の天井ぎりぎりまである陶器たち、窯と接していないか最終確認をします。
 

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火入れが始まりました。

青い炎が窯の両側から吹き出し窯全体を温めていきます。

きれいな色ですね。


3日間後
窯から戻ってきた陶器たちは、、、

 

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茶碗や箸置き、お茶のポッドなど約1400個ものの陶器が光沢を帯び、青緑色にお化粧して戻ってきました。
 

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陶器ボタンは、というと、、、
 

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ひとつひとつの形や青流しの雰囲気も異なり、でもどこか誇らしげにも見えます。

みなさんのお手元に届く半纏のボタンはどの子なのでしょうか、楽しみですね。

左右についているボタンの雰囲気の違いを楽しむのも良いのではないでしょうか。



ここまでがおおまかな松代焼における陶器ボタンの工程となっております。

細かな工程については割愛させていただきましたがみなさんも初めて知る部分があったのではないでしょうか。

 

わたしは以前から陶芸に興味があり何度か陶芸体験に参加したことがあるのですが、この松代陶苑さんの見学を通して工程の順序、なぜその工程が必要なのかを知ることができました。

陶芸の体験時は成形しか関わることができません。

成形完成後、「お渡しは〇ヶ月後です」と工房の方に聞き、「そんなに時間がかかるんだなあ」と漠然と抱いていた感情も今では十分な乾燥が必要なこと、素焼きを行ってから本焼きがあることを理解することができました。

わたしの手元に届く間にも工房の方が作品の状態を見極めながら仕上げていただいていたんですね。

 

これにて「"松代焼"の陶器ボタンについて」は以上となります。

何度も見学させていただいた松代陶苑さん、ありがとうございました。

工房横には商品を販売しているお店もあり、伺う度に商品が増えて目移りが止まりませんでした笑

みなさまにも松代焼の素敵さ、面白さ、奥深さが伝わっていますと幸いです。

ニシザワ


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