私は小学生から中学生の頃にかけて、若年性アルツハイマー病の母を、家で介護しておりました。発病当時母は48歳、今の私と同じ歳です。当然ながら、当時は介護保険などはなく、アルツハイマー病という病名も、誰も聞いたことがない、そんな時代でした。
私は毎日中学校から帰ってきたら、徘徊していなくなってしまった母を探しに行き、母の手を ひいて家に連れて帰るのが日課でした。 そして家に帰ったら、今度は母の排泄物の後始末。母はトイレの場所がわからなかったので、 昼間ゴミ箱に排泄をしたり、洗面台に排泄物を流して、パイプを詰まらせてしまうこともありました。それらの掃除も、私の仕事でした。
当時そんなことは、家の恥だと思い、学校の先生や友人にも相談できず、一人で悩みを抱えながら、大変辛い少年時代を過ごしました。
このヤングケアラーの問題は、家事や介護に時間を取られる事だけではありません。もっと深刻な問題は、子供が誰にも相談できずに、だんだんと孤立してしまい、やがて自尊心を失って心が潰れてしまう事です。人生これからの子供たちがそのスタートの段階で人生の全てを諦めてしまうことは、やはり私も一人の大人として何ともやりきれない思いがしてしまいます。
ヤングケアラーを孤立させない為に、地域の大人たちはどこまで寄り添えるのか・・・もしかしたら、それは人々の意識を根底から変えるくらいの大きな挑戦かも知れません。
でもこの講演会とコンサートが、その小さなきっかけになってくれればよいと思っています。
プロジェクトオーナー
一般社団法人 生活互助支援の会